人工透析は、腎臓の機能が低下または停止した患者の血液を人工的に濾過する医療行為だ。週に何回か人工透析をすれば、患者は腎臓が働かなくても何ら問題もなく日常生活を送ることができる。
人工透析に至る経緯は様々で、腎疾患や事故など多岐にわたる。
若い頃から長期間人工透析を続けて生存している患者がいる一方、人工透析に移行して間もなく他界してしまう患者も珍しくない。人工透析は、医療過誤のリスクが小さく安全に血液を濾過する作用があるものの、健康な腎臓に比べて完璧に老廃物を排除できる訳ではなく、人によっては完全に血液を濾過しきれなかったり合併症を引き起こしたりする場合もある。
こうしたリスクを背負う患者と接する看護師には、細やかな気配りが求められる。
人工透析を受けることになって大きなショックを感じている患者は少なくない。毎週何回も通院して透析慣れした患者にとっても、看護師とのコミュニケーションは重要な要素だと言える。
患者の血管に針を刺して透析機器を接続することや、透析機器に患者の除水量などのデータを正確に入力するなどの機械的動作も、確かに重要な役割だ。しかし、患者のメンタルケアは決して怠ってはならない。
透析患者にとって、1回で何時間も必要な人工透析に費やす時間は、日常生活の中でもかなりの部分を占める。人工透析を通じて看護師から受けられるホスピタリティは、患者にとってかけがえのない価値を持つものだといえる。